ぼちぼちゆで卵

結婚、離婚、子育て地域とのかかわり等、特別なことはありませんが時々起こる喜怒哀楽な出来事を書いています。

精神科医療って~患者/医療者の関係

 精神科病棟に勤めてもうすぐ10年になる。


色々きついことが多かった。
患者さんから、「ありがとう」と言って貰えることもたくさんあって
それなりに充実はしているけれど


患者さんのために
本当に力になることは
出来ていただろうか?と
疑問に感じる今日この頃です。


一度、本当に辞めてしまおうかと
悩んだことがありました。


パニックを起こす患者さんとの出会い。
色々考えさせられました。


私に向かって
「あんたのせいでパニックになったの分ってるの⁉」
「わかっとんか!ボケ!!」
「あんたは看護婦失格や!!」
「はよ辞めろ!」
「ずっと我慢しとったんや!」


浴びせられる罵倒。
誰も助けてくれない。
そばで聞いてる院長も、看護部長も
誰も何も言えない。


「患者さま」だから

全て私が悪い


病院としてお金を払って来てくれる
だから、どんなことがあっても守られるのは
「患者さま」の人権だけ


精神科だから当然衝動的に暴力をふるう人もいる
認知症の老人だって、
食事介助の途中で突然殴りかかってくる人もいる


被害にあうのは最前線の看護スタッフ。
言葉の暴力も、身体的な暴力も


「病気だからしょうがない」
で諦めている。
暴力を受けたスタッフはひたすら
自分の対応が悪かったんだと
自分を責めて
責めて
責めて
責めて


自分で何とかしないといけない。
自己責任


今の前提は


「怒らせてはいけない」
「悲しませてはいけない」
「気分を害させてはいけない」


精神科病棟といえどクレームは怖い。
だから専門職である看護師が医師が


「患者様を怒らせるようではいけない」
「患者様を悲しませるようではいけない」
「患者様の気分を害させるようではいけない」


だから、そうしてしまった私は
自分が悪い
と思い込んでしまう。
そして、自分のことは自分で守れ…と



だけど本来
精神的な援助をするときに
大切なのは患者さんと医療者が
「対等」である事なのでは・・・。


そもそも患者さんは
人間関係に「生きづらさ」を抱えている人が多い。
統合失調症や認知症についてはその限りではないかもしれないけど


「患者さま」が土台の人間関係で
スタッフ側が思ったことを伝えられない。
気を使わなければいけない。
怒らせないように
パニックを起こさせないように


腫れ物に触るように
「患者様」と棚上げした関係で
本当に患者さんの心は
癒されるのだろうか?


もちろん、専門職としての知識で
患者さんの状態を見極める
必要があるのは最低限の事として


患者さんから理不尽な扱いを受けることを
「しょうがない」
とあきらめてしまうことは
本当に患者さんのためだろうか?


私を罵倒した患者さん
心の中に「怒り」が満ちてました。
「なんで私ばかり?」
「こんなに努力しているのにどうして?」
「周りが私をそうさせるんだ」
「私は悪くない!」


今思えば、
「この人は必死に自分を守ってるんだなぁ」
「大丈夫なのに・・・。早くその鉄壁の守りを解いて自由になればいいのに」
と思います。
でも、罵倒されてる間はそんな余裕なかった(笑)



患者さんが発するマイナスの反応は
必ずしもダメなわけじゃない。
その反応を受け入れることで
固く絡まった患者さんの心を
紐解くヒントを得られるかもしれない。



だから
「怒らせてもいい」
「悲しませてもいい」
「気分を害させてもいい」
のだと思う。


1人の人間として対等に接したときに
現れるその人の素直な反応。
それをしっかり受け止める事が
大事な事なんだろう。



でも
「怒らせてはいけない」
「悲しませてはいけない」
「気分を害させてはいけない」


今の現状だから
薬に頼る
上っ面の言葉しかかけれない。


怖いよ
マイナスの反応が来た時のことを考えると
怖い。
本当はもうあんな思いはしたくない。
叩かれたくない
だから
「怒らせない」
「悲しませない」
「気分を害さない」


そして自分を無力に感じる
何もできない。




だからグルグルし続けてしまう。

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